「おぁっ!!
木下クン、見てただけで、イッちゃったのかよ!?
ビックリだよ…」
「すげぇ…
まだチンコビクビクして、汁が出てるぜ」
快感にペニスをビクつかせる俺を見て、佐々木と長岡が言ったが、何を言われようと、もうどうでも良かった。
モニターの中では、新井のペニスが、沙織の肌目の細かい頬の上を、遠慮なく這い回っている。
もともと新井自身が分泌したカウパー腺液と、沙織の唾液によって濡れ湿っていた新井の剛棒は、ヌルヌルヌルヌルとナメクジが通ったかのような痕跡を、沙織の右頬に残す。
沙織はどういった反応をすべきか悩んでいるような顔をしているが、決して嫌悪感を感じている様子ではない。
『あぁあ~
沙織ちゃん~気持ちイイよ~』
新井は、左手で沙織の頭を優しく固定し、右手で自身のペニスを支え、器用に腰をクネクネ動かし、それを擦り付ける作業に没頭している。
沙織のほんのり赤らんだ、上品な桃色の頬と、ヌラヌラ赤黒く怒張した新井の陰茎とのコントラストが、たまらなくいやらしい…
『沙織さん…
そんな風にされて、今、どんな気分ですか?』
しばらく黙って、事態をカメラに収録していた監督の大西が口を開いた。
『…どう…って言われても…
…ん…
何か…変な感じとしか…』
困った様に沙織が言う。
『今まで彼氏にそんな事をされた事はありませんよね?』
俺は顔コキなんて、思いもつかなかった…
『ハイ…』
『気持ち悪くは無いですか?』
『…ん…
うーん…やっぱ…よく分かりません…
でも…ムゥ…気持ち悪くは…ん…』
沙織は時折笑顔も交えて、監督の問いに答える。
その間も勿論、新井のペニスは、沙織の顔を上下に這いずっている。
『沙織さん…
凄くいやらしいですよ…
自分でご覧になってみて下さい』
大西がそう言うと、三脚に固定されているハズのカメラが、僅かに動いた。
おそらく液晶モニター部分を反転させて、撮影中の画像が、沙織の方からも見えるようにしてやったのだろう。
その映像を見て一瞬、恥ずかしげな顔をしたが、次の瞬間、沙織の表情は、なんとも艶かしいものへと変貌していた。
客観的に自分が今されている行為を見た事で、その行為のいやらしさを認識してしまったのだろう…
途端に沙織がモジモジし始めた。
『どうですか?
そんな太いおチンボを顔に擦り付けられてしまっているご自分の姿…
いやらしいと思いませんか?』
『…凄い…やらしいです……んぁ…』
『あ~、イイ顔してますねぇ…
沙織さん、イイ女の顔ですねぇ…
クニ君も喜んでますよ。
更におチンボ硬くなっちゃったんじゃないですか?』
新井は、監督の言葉に合わせるように、ペニスの動きを激しくした。
一瞬、その剛棒は動きを変え、沙織の唇の上を通った。
完全に、沙織は新井の陰茎に口づけをしてしまったようなカタチになった。
だが沙織は、それも意に介さず、むしろ自分から顔をペニスに押し付けるような感じですらある。
その表情は、恍惚としていた。
『そう…ですね…
んン…んぁ…
凄く…硬いです…ハァ…』
『まぁ、ゆっくり、そのおチンボの感触…楽しんで下さい』
大西にそう言われた沙織は、妖艶な笑みを浮かべ、目だけで頷いて見せた。
そんな光景を見て、俺の貧弱なペニスは、あれほど射精したにも関わらず、勃起したままだった。
ダラダラとカウパー腺液も流れ出続けている。
隣で長岡が、沙織のいやらしい表情に、より興奮を高め、自慰に励んでいる。
佐々木は、モニターも見つつ、情けない俺の様子を憐れんだような眼差しで見ている。
そんな所へ…
ガチャ…
誰かが扉を開けた。
“誰だ?”
俺は、ドアの方を振り返ろうとしたが、拘束されている状態では角度的に、上手く見えなかった。
「うわぁ…
沙織ちゃん、凄い事されちゃってるね」
そんな俺の異常な状態にも関わらず、その声は、明るい声を上げた。
…女の声だった。
“…沙織の事を知っているのか?”
そんな口振りだった。
「あ、長岡君…
フフフ…もう自分で始めちゃったんだ?
ガマンできなかったんだ?」
…それは、聞き覚えのある声だった。
その声の主の女は、俺の真後ろに立った。
「エッ!!?
ナニ!!?
木下…この状態で何で発射しちゃってるの?
そこまで変態だったっけ?」
女は驚いた声を上げた。
“俺の事も知っている?”
沙織の事も、長岡も、俺の事までも知っている…
共通項が思い浮かばなかった。
だいたい俺と沙織は、お互いの友人をほとんど知らない。
いつも2人っきりで会い、遊んでいた。
“いったい誰なんだ?”
俺は、必死で首を後ろに向け、声の主の正体を探った。
なんとか視界に入ったその姿は…
細身の体を、襟を立てた白いシャツとタイトな黒のミニスカートに包んだ女。
目力の強い眼差し…
千枝だった…
髪をショートカットにしているが、間違いなく、あの千枝だった。
「木下、久しぶり!
元気…そうだね?」
混乱し、目を見開く俺に、千枝は軽く声をかける。
“なんで千枝が?
いや、新井と続いていたのなら、不思議では無いが…
でもなんで沙織の事を…?”
また俺の頭の中は、クエスチョンマークで一杯になる。
「あ、千枝さん。
千枝さんも、この件に噛んでるんですか?」
佐々木が言った。
長岡はさすがにペニスをシゴく手は止めたが、それでも隠そうともせず千枝を見ている。
「まぁね~
それよりも、木下の口のヤツ、取ってあげなよ」
千枝がギャグボールを取る様に二人に言った。
「でもこれクニさんが、騒がれちゃ面倒だからって…」
長岡が、拒否するように言った。
「大丈夫よ。
このままじゃ、せっかくのオトコ前が台無しだし…
あの人からは許可されてるから、取ってあげて。
今更騒いだりしないよねぇ、木下?」
俺は頷くしかなかった。
佐々木が
「騒いだら、また咬ませるからな」
と凄みながら、ギャグボールを外してくれた。
長時間、大きく口を開けさせられて、顎がバカみたいになっていた。
千枝が机の上に置いてあった、誰かの飲みかけのビールを手にとり、俺の口に流し込んでくれた。
ほんの少し落ち着いた気がした。
「なんで…
なんで千枝さんがココに居るんですか?
なんで俺がこんな目にあわなきゃなんないんですか!?
なんで沙織を知ってるんですか!!?
いったい何なんですか!!?」
疑問をぶつける内に、興奮してしまい、大きな声を出してしまった。
すかさず脇腹に佐々木の拳が入る。
「ウゥッ…」
「だからうるさいって…
でも千枝さん、俺らも今回の件、何も知らないんですよね」
「あの沙織ってのが、コイツの彼女らしいってのは分かったんスけどね~」
佐々木と長岡も千枝に説明を求めた。
「分かった、分かった。
じゃ、簡単に説明してあげるね」
千枝は、そう言うと、俺の頭を撫でながら、ソファの背もたれに腰掛け、話し始めた…
簡単に説明すると、事の発端は、1年半前の、あの夜だった。
俺と千枝が、あの夜関係を持った事を(とは言ってもセックスまではしなかったのだが)新井が知ってしまったことからだった。
自分の事は棚に上げ、独占欲の極端に強い新井は怒り狂ったそうだ。
そして、俺にも同じ気持ちを味あわせようとしたそうなのだが…
当時、俺は彼女が居なかった為に、それも出来ず…
ズルズル時間だけが経っていった。
だが、新井の執念は凄まじく、折に触れ密かに俺の動向を探っていたのだ。
そして遂に、沙織という彼女の存在を知る。
そこで、沙織には千枝が近付き…
今回の事態になってしまったと言うことらしい…
「じゃ、さっき沙織が言ってた、この撮影にノリノリだった友達って?」
佐々木が言った。
「そ、アタシ」
「うわっ!!
ヒデェ!!
千枝さんヤル事エグ過ぎますよ」
長岡が笑いながら言った。
「…アンタが…
アンタが悪いんじゃねーか!!!」
俺は千枝に向かって叫ばずにはいられなかった。
「エッ!?
アタシのせい??」
キョトンとした顔で千枝は言った。
「あの夜、アンタが俺を巻き込んだようなもんだろ!?」
「でも、木下だって楽しんだじゃん」
「そ…それはそうだけど…
でも“誰にも言うな”って言っておいて、なんで新井が俺達の事知ってんだよ!?」
「アタシだって言う気なかったわよ…
怖かったし…実際に酷い目にも合わされたし…
でも、バレる直接の原因はアンタが作ったんだからね!!」
「ぁあ!?
ワケ分かんねぇ事言うなよ!!
俺がナニしたんだよ!?」
売り言葉に買い言葉で、半ば痴話喧嘩のように言い合う俺と千枝を、佐々木と長岡は面白そうに眺めている。
「ナニした?じゃないわよ…
アンタ、あの夜、新井が部屋に来てからすぐに帰った?」
そう聞かれ、言葉が出なかった…
「アタシ、ベランダから逃げろって言ったわよね?」
「…あぁ…」
「おっ、木下クン、急にトーンダウンしたねぇ?
どしたのかな?」
長岡が嬉しそうに合いの手を入れる。
「アタシ、ベランダで、アタシと新井のセックス覗いてオナニーしろなんて言って無いわよね!!?」
「……」
「なになに?
木下クン、そんな趣味もあるの?」
今度は佐々木だ。
「それがどうしたんだよ!!
確かに覗いてたよ!!
でもあん時は、絶対バレて無いからな!!」
逆ギレとはこういう事を言うのだろう…
俺はムキになって言った。
「そうね…
アナタがベランダに居る間は、新井も気が付かなかったわ…
アタシもとっくに帰ったもんだと思ってたし…
でも…アンタ、あのベランダで、アタシと新井のセックス見て、何回オナニーしたのよ!?
何回ザーメン出したのよ!?
出したザーメンくらい拭き取って帰りなさいよ…」
俺は全身の血液が、顔に集まるかのような感覚に囚われた…
恥ずかしい…
「えっ!?
それって…
木下クンがベランダ…フフ…ベランダて…
ベランダに出しっぱなしのザーメンを、クニさんが見つけて、浮気がバレたって事?」
佐々木がそう説明した。
「あの人…新井、鼻が異常に利くのよ…」
千枝が、つぶやく様に言った。
なんてことだ…
ほんの些細な事で、こんな目に…
自分の間抜けさ加減が、これ程嫌になった事は無い。
「千枝さん…
俺はどうなるんだ?」
思わずそう聞かずには要られなかった。
「どうもならないわよ…」
「は?」
「アンタは、ただ、ここで、沙織ちゃんを見ておけばイイの」
“そうだ!!沙織だ!!
一番の被害者は沙織なんだ…
今回の件で、沙織は巻き添えを食っただけじゃないか!?”
「沙織…沙織はどうなるんだよ!?
まさか、レイプとか…
そんなの絶対許さないからな!!」
俺はまた沸々と怒りが沸き起こって来た。
「落ち着きなさいよ。
レイプなんて絶対しないから、安心しなさいよ」
「じゃあ、どうするんだよ」
「アンタは、沙織ちゃんを信じるしかないって事よ…
沙織ちゃんが嫌がる事は絶対にしないわ。
それは約束する」
「つまり、それは、沙織が帰りたいって言ったら、邪魔せずに帰すって事か?」
「そー言うコト。
だから、沙織ちゃんを信じて、もーしばらくおとなしくしてなさい」
千枝は冷静さを取り戻しニッコリと笑った。
モニターの中の、新井のペニスを顔にグニュグニュ押し付け続けられている沙織の表情は、俺の心配を余所に、とても淫靡で、ある意味、とても幸せそうにすら見えた…
俺は、言い様の無い不安に押し潰されそうになっていた…