「だっ…誰なんですか!?
あの人!!」
沙織は、鎖に繋がれた無様な俺を指して、新井に訊ねた。
セックスの快感から、一転して醒めてしまった様だった。
正体不明の“俺”の存在に、驚いて…いや、怯えている様だ…
なぜなら、鎖に繋がれた俺の頭には…
黒い革のマスクが被せられていたからだ。
それは、先程の部屋を出る時に、大西によって被せられたのだ。
当然、顔が見えないから、沙織にとって、今の俺は、貧相な勃起ペニスを丸出しにし、真っ裸で鎖に繋がれた、謎の変態マスクマンでしかなく、その不気味な様相は、怯えられても仕方がないと言えるだろう。
しかし、何度も身体を重ねた相手の裸に気付かないものだろうか?
おそらく今の沙織なら、ペニスを見ただけで、大西と新井の区別はつくだろう。
逆に、二人の逞し過ぎる男根と比べ、あまりにも惨めな俺の“オチンチン”を見ると、一発で正体が分かりそうなものなのだが、そんな事もないようだ…
残念だが、身体つきで正体が見破れる程、沙織は、俺に興味がなかったのかもしれない…
俺はそんな事を考えながら、何か言葉を発しようか迷っていた。
沙織が“俺”の存在を認識してしまったら、二人の関係はどうなってしまうのだろう…
それが怖かった。
言葉を発したら、マスクマンが俺だと、さすがに気付くだろう…
そうなったら…どうなる?
沙織自身が置かれている立場を省みて…
そして、この惨めで変態的な俺の状態を見て…
真面目で純な…
真面目で純だった、以前の沙織なら、別れを考えてしまうのではないだろうか?
俺は、そんな予感がして、容易に言葉を発することができなかった。
やはり別れたくないのだ…
あれだけ俺以外の肉棒で辱しめられた女を、俺はやはりいとおしく思い続けているのだ…
「コイツ?
この変態クンはねぇ…
俺と千枝の大学の後輩。
お前に負けない筋金入りのドマゾのド変態で、ああして拘束されたまま、目の前で他人のセックスを見せつけられて悶々とするのが大好きな、粗チン君だよ」
新井が、たった今沙織の顔面に射精し、熱を失った太い陰茎をブラブラさせながら俺に近付き、側にあったパイプ椅子にドッカリ腰を下ろして、俺の頭をペチペチ叩きながら答えた。
「クニさんと、千枝さんの後輩…」
そこで再び、沙織の視線は、大西に貫かれ、狂っている千枝に向けられた。
「…いったい……
これッてなんなんですか…?」
正気に戻り、千枝と、大西の性交を改めて間近で見た沙織の表情は、恥ずかしそうでもあり、羨ましそうでもあり…少し怒っているようにも見えた。
おそらく、大西のペニスによる快感に悶え狂った事を思い出し、千枝への嫉妬心等で、複雑な感情だったのだろう…
「まー怒るなよ沙織ぃ~」
新井が煙草をくわえ、煙を吐き出しながら言った。
「これも千枝の優しさだぜ?」
「千枝さんの…優しさ…?」
「そうですよ、沙織…」
大西が腰を揺すりながら口を挟んだ。
当の千枝はヒィヒィ喘いでいる。
「兼ねてからボク達のおマンコ奴隷で、“女の悦び”を知っている千枝はね…
粗チンの彼氏の自分勝手なセックスしか知らない沙織に、本当のセックスの素晴らしさ、気持ちよさを教えてあげたいって、ボク達に相談して来たんですよ」
「そーそー、そこで俺らが、一肌脱いで、お前を本当の“雌(おんな)”にしてやったんじゃねぇの…
なぁ?」
新井が、再び俺の頭に手をパチッと置き、同意を求めてきた。
が、俺はどういうリアクションをすればよいのか分からなくなっていた。
「でも!!
べ…別に、私…
彼とのエッチに、不満なんか…有りませんでした…」
勢いよく切り出したが、それに反して、語尾に自信が無くなっているのが、よく分かった。
「それは、昨日…いや、ついさっきまでの話でしょう?」
「……」
「今でも、彼氏との…コウ君とやらの粗末なチンボとのおマンコで“満足してる”と、胸を張って言えるんですか?」
大西は、諭す様に、優しく沙織に問いかけた。
沙織は、何て答えるんだろう…
俺は期待して、固唾を飲んで、沙織の返答を待った。
もっとも、俺を喜ばせる答えを期待しているのか、失望させる答えを期待しているのか、わからないのだが…
「………」
沙織の返答は沈黙だった。
その沈黙が、なにより雄弁に、沙織の気持ちを表現していた。
「でも、まぁ…
結果的に、千枝が沙織を騙してしまったのは事実ですからね…」
バチン!
と、大西が千枝の尻を叩いた。
刺激に仰け反り、千枝が虚ろな瞳で大西を振り返った。
「千枝…
沙織に謝りなさい」
大西が千枝をペニスで押し出した。
千枝と沙織の距離が縮まった。
千枝は、トロンとした瞳で沙織を見つめ、両手で沙織の頬を支えた。
沙織は、何が起こるのか把握できないまま、それでもその雰囲気に呑まれた様に、千枝を見つめ返した。
「沙織ちゃん…ハァァ…
ご…ゴメンね…」
千枝は、大西の巨大なペニスをヴァギナに挿入されたまま、沙織のピンク色の唇に、自分の真っ赤な唇を近付け…
口づけをした。
沙織は…
拒絶しなかった。
そうされるのを理解していたのかもしれないし、期待していたのかもしれない…
とにかく、当然の様に千枝の口づけを受け入れた。
そして、その表情は、瞬時に、またあの淫靡な表情に変貌していた。
ピチャ…ぬちゃ…
「ごめ…んね…沙…織ちゃん」
すぐに舌を絡ませながら、千枝が再度許しを請う。
沙織は鼻息を荒くしながら、応えるように自分からも舌を絡ませた。
「ン…許して…くれる?」
…チュゥ~…ぬぷ…ニチャ…
「フ~…ム~…」
沙織は、言葉を発さずに頷いた。
もう千枝とのキスに夢中で、その背徳の官能世界に入り込んでしまっている様子だった。
「やっぱ沙織のヤツ、スゲェなぁオイ。
一瞬でスイッチが入っちまいやがる…
こりゃホンモノだわ。」
新井が俺に煙を吹きかけ、ニヤニヤしながら耳打ちした。
「どうやら仲直りできたようですね」
相変わらず千枝の中に入れたまま、偉そうに大西が言う。
「これからは二人は、ボクの奴隷姉妹ですからね。
千枝は姉らしく、沙織を優しく厳しく“調教(きょういく)”し、沙織は妹として千枝の言うことを聞きなさい。
いいですね?」
端から聴くとバカバカしいが、千枝も沙織も、その言葉を聞くと、唇を離し、大西に向かって『ハイ。ご主人様』と異口同音に答えた。
そして再び見つめ合い…
「改めて…沙織…よろしくね」
「こちらこそ、色々教えてね、千枝お姉さん」
と挨拶を交わし、また舌を絡ませ始めた。
熱い熱い接吻だった。
ピチャピチャヌチャヌチャ…とにかくいやらしい高湿度の音が響く。
「フフフ…沙織の口の中、新井のザーメンの味がするぅ~」
ヂュゥ~…
「ァン…千枝さん…」
ピチャピチャ…
「ザーメンぶっかけられたお顔も舐めちゃおっかなぁ~?」
チュプ…チャプ…
「ぁん…耳は……」
ジュル…ジュル…
「アタシが沙織の顔のザーメン、全部舐めてキレイにしたげるね」
ペロペロ…ペロペロ…
ヂュゥ…
ピチャピチャ…
美女が二人、お互いに貪る様に唇を吸い合い、舌を絡め合っている様は、男と女のそれよりも淫らな行為に見えた。
ヌポ…
不意に大西が、千枝のヴァギナからペニスを引き抜いた。
凶悪な肉の塊が跳ね切り、ビチャッとでっぷりした下腹に張り付いた。
白く泡立った千枝の淫水まみれだ。
ペニスを抜かれてしまった千枝は、唇を沙織から離し、不服そうに大西を振り返り見上げた。
「続けなさい」
有無を言わさぬ感じで、大西は命じた。
「ハイ…ご主人様…」
従順に従い、千枝はまた沙織に吸い付いた。
ジュルジュルジュル…
お互いの唾液を奪い合うかの様に、音を立てて吸い付き合い…
ネロネロネロ…
柔らかなベロが、意思を持ったかの様に絡み合う。
ねっとりとした…それは性交だった。
女同士のセックス…
レズビアンには全く興味がない俺でも、異様に興奮していた。
あの沙織の表情…
あの表情も、俺とのセックスでは見せた事がない。
男にだけではなく、女にまで…
俺は沙織を寝とられている…
貧弱なペニスがビクつく…
射精一歩手前まで来ているのが分かった。
だが同時に、このまま視覚的な刺激だけではもはや射精出来ない事も感じていた。
せめて…ほんの少しだけでも刺激を与えられたら…
鎖をガチャガチャ言わせ、何とか手がペニスに触れないか試してみる。
だが、あいにく手首を足首に拘束されているため、どうしても届かない…
それでも何とか…そう思い足掻く。
「お~頑張れ頑張れ~」
オナニーがしたくて必死にもがく俺を、新井が馬鹿にしたように茶化す。
「彼はね…」
大西が、口づけを交わし続ける沙織に向かって、説明するように話し始めた。
「今日、もう5回もザーメン出してるんですよ…
ねぇ千枝?
そうでしたよね?」
千枝が舌を絡めたまま頷く。
「んっ…ごっ…ほはいも…むぅ…でふかぁ?…ちゅっ…」
沙織が驚いた様に声を出す。
口を開くと、容赦なく千枝の唾液まみれのベロが侵入してくる。
「今、6回目に挑戦中なんです。
ま、手が届かないので、なかなか難しくて悪戦苦闘してる様ですがね…
あんな粗末なチンボなのに、スゴいですね…
ずっと休み無しで勃起しっぱなしなんですよ。
粗チンって言うのは、案外絶倫なんですかね?
沙織の彼氏も、粗チンのクセに、あんなに絶倫ですか?」
「チュプ…彼は…
ひっはひ…一回で…終わっひゃい…んっ…ますぅ…むぐぅ…」
「それは何とも情けないですねぇ…
沙織ほどの極上マンコが好きなだけ使えたのに…
可哀想に…」
それは俺に対し“お前は…沙織の性器を使うことは…沙織とセックスをする事は、もう二度とないんだよ”…暗にそう言っているのだ。
「さぁ、あの変態マスクのオナニーのお手伝いになるように、もっと興奮させてあげましょうか…
二人にはご褒美ですよ」
大西は声のトーンを変え、俺の方を見ながら言った。
そして、未だにディープキスを続けている美女二人の横に立ち…
その各々の頭を手で押さえ…
唇と唇が吸い付き合っている、舌と舌が絡み合っている、その結合部に向けて…
その熱く屹立した、巨大なペニスを突きだした。
沙織と千枝が交わしている口づけの中心から、ヌラヌラとした、濁紫色の亀頭がニュウッと飛び出した。
「吸い付きなさい。
舌を使って味わいなさい」
そう言いながら、大西は腰を使い始めた。
「ぁぁん…」
「ハァァ…」
沙織と千枝は、恍惚の吐息を洩らし、促されるがまま、二人の間に突き入れられた、凶悪な肉の塊を味わい始めた。
硬く巨大な陰茎の横腹を、可憐な二人の唇が擦る。
唾液がまぶされる。
舌が這い回る。
ニチャニチャ…
ヌチョヌチョ…
美女二人が跪いて、しかも一人は、気付いていないとはいえ彼氏の目前で、醜い中年男の、グロテスクなペニスにむしゃぶりついているのだ。
もう、沙織の目には、俺は映っていない…
ただ目の前の、いやらしく反り返ったペニスを味わう事に没頭している。
それをさせながら、大西は俺を完全に見下した目で見ている。
この上ない屈辱感に、俺の貧弱なペニスも破裂しそうな程に充血していた…