牧原達の行動はそこからさらにエスカレートしていった。
亜紀も好奇心に突き動かされるようにしてそれに付いていってしまう。
今まで彼氏の俺とも友達ともしてこなかった話題、できなかった話に、亜紀はやはり興味があるようだった。
本当は興味があったけど誰にも言えなかった、亜紀がずっと内に秘めていた物。
それを牧原達が巧みな話術と雰囲気作りで解放させていく。
「本当にずっと触ってるね、感触が好きなの?」
「そうですね、好き……かも。なんか触ってると心がフワ~ってするっていうか、女の子の身体とはやっぱり違うじゃないですか。」
「筋肉から男性フェロモン感じちゃうの?」
「あ~……そうかもしれませんね。」
亜紀は牧原達からの質問に、少し顔を赤くしながらもやはり笑みを浮かべて答えていた。
まるでそういう質問をされるのが嬉しいかのように。
「じゃあさ、ちなみに男の身体で一番好きな所はどこなの?やっぱり腹筋とか?」
「そうですねぇ、腹筋もそうだし背中もだし……あとは……」
「あとは?」
「あとはあの……えっと……お尻とかも…好きです。」
恥ずかしそうにそう告白した亜紀。
また1つ、知らなかった意外な素顔を見せつけられて、俺の鼓動は早くなった。
「ハハッ、へぇ~尻ねぇ、意外な所いくねぇ亜紀ちゃん。男の尻のどういう所が好きなの?」
「ん~なんか、キュッとしてるじゃないですか。」
「ふ~ん。ていうかさ、じゃあ篠田がパンツ脱いだ時、亜紀ちゃん実は心の中では喜んでたんじゃないの?尻見えたでしょ?」
「え~、でもあんまり見てないから……恥ずかしいし……」
「じゃあ今から見てみる?」
「え~でも……」
「見たいんでしょ?」
そう聞かれ、亜紀は恥ずかしくて自分から見たいという言葉は出したくなかったのか、その代りに何も言わずにプールに入っていた篠田を横目でチラっと見てまた笑みを浮かべた。
「ハハッ、やっぱり見たいんだね亜紀ちゃん。篠田、じゃあ見せてやれよ。亜紀ちゃんお前の尻が見たいってよ。」
「しょうがないなぁ亜紀ちゃんは。俺結構恥ずかしがり屋さんだからさ、そういうサービスは普段あんまりやらないんだけど、可愛い亜紀ちゃんの頼みなら従うよ。」
そう冗談っぽく言いながら、篠田がプールから上がる。
水に濡れた篠田の裸体が再び亜紀の目の前に立つ。
でも全裸の篠田を見ても亜紀はさっきのように悲鳴を上げたりしない。
ただ恥ずかしそうに目線を外して笑ってる。
「亜紀ちゃん、篠田が折角見せてくれてるんだから、ほら、恥ずかしがってないでちゃんと見ないと。」
そう言われて篠田の方へゆっくりと視線を向ける亜紀。
しかし篠田は亜紀に身体の正面を向けていて、亜紀の視界に入ったのは尻ではなく股間だった。
「えっ、あ、あの……ちょっと……」
それで亜紀は牧原に少し慌てるように〝ちょ、ちょっと違うんですけど〟みたいな感じで訴える。
でも亜紀はその時、さっきみたいに篠田の股間から目を背けるんじゃなくて、気になるみたいにチラチラとアレを見ているようだった。
「おい篠田、亜紀ちゃんにチンコ見せてどうすんだよ。尻だよ尻。」
「あ、そっか、後ろ向けばいいんだね。これでいい?」
「亜紀ちゃんほら、篠田の尻だよ。見てごらん。」
牧原に言われて再び目を向ける亜紀。
「……わぁ……」
亜紀は改めて篠田の身体、その臀部を見てそう小さく声を上げた。
「どう?亜紀ちゃん、篠田の尻は。」
「……いいですね……」
「おい篠田、亜紀ちゃんが篠田の尻気に入ったってよ。」
「おお、嬉しいなぁ、亜紀ちゃんにそう言ってもらえると。できたら俺のこの尻をプレゼントしたいくらいだわ。」
篠田の冗談に亜紀がまたクスっと笑う。
「フフッ、でも本当に綺麗ですね。背中も綺麗だし。」
見事に逆三角形になった上半身、そして引きしまった尻の筋肉。
亜紀は篠田のヌード姿に惚れ惚れしているようだった。
「じゃあ触ってみれば?」
この流れならそうなるだろうという展開で、牧原が亜紀にそう提案してきた。
そしてもちろん亜紀は、また恥じらう表情を見せながら遠慮気味に答える。
「……いいんですか?」
「篠田、亜紀ちゃんがお前の尻触りたいってよ。いいよな?」
「いいよいいよ!もう好きなだけ触っていいよ。」
「ほら、亜紀ちゃん、もっと近づいて。」
「あ、はい。」
そして篠田の後ろに来た亜紀がゆっくりとそこに手を伸ばす。
「本当にいいですか?」
「いいよぉ、触るなり揉むなりお好きなように。」
「じゃあ……」
亜紀の白い手が、篠田の尻にそっと触れた。
「わぁ……凄い……」
「亜紀ちゃん、どんな感じ?」
「ちょっと硬くて、でもスベスベしてて……篠田さんってお肌も綺麗ですよね。日焼け跡も素敵だし。」
「ハハッそう?まぁ健康だけが取り柄だからね。亜紀ちゃんに褒められると嬉しいなぁ、もっと触っていていいよ。あ、そうだ、お尻引き締めてみようか、こうやって。」
そう言って篠田が力を入れて、尻の筋肉収縮させて見せる。
「わぁ……」
「亜紀ちゃん、この方が好きなんでしょ?キュッとしてる方が。」
「そうですね、わぁ硬くなった。」
その後亜紀は背筋も触らせてもらったりして喜んでいた。
最初は見るのも恥ずかしがっていたのに……。
明らかに亜紀の貞操的なガードが緩んでいくのが見て取れて、俺の不安はさらに増していった。
そして俺のそんな不安を他所に、ここから亜紀はさらにその先に進んで行ってしまう。
「亜紀ちゃん、他は?他に触ってみたい所とかある?」
「ん~……太ももとか、かなぁ……。」
「太もも?あ~じゃあ太ももだと、やっぱり前から触りたいでしょ?大きい筋肉ついてるのは前だし。後ろからじゃ触れないよ?」
牧原がニヤニヤとイヤらしい笑みを浮かべながらそう亜紀聞いた。
篠田が前を向くという事は、つまりそういう事だ。
牧原が亜紀をさらに卑猥な方向へ誘導しようとしている事は誰の目にも明らか。それは亜紀にだってさすがに分かるはずだ。
しかし亜紀は少し考えるような仕草をした後、その問いにこう答えた。
「……そう……ですね。」
この時の亜紀の表情は、明らかにその意味を分かっているものだった。
牧原の目を見ながら、少し笑ってる。
「じゃあ篠田に前向いてもらうよ?いい?」
「……はい。」